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静岡新聞2024年10月29日読者文芸欄短歌大辻隆弘選入選

あたまではわかっているけどからだにはわかるということなくて早稲の香

静岡新聞2024年10月29日読者文芸欄詩野村喜和夫選

蜘蛛

静岡新聞2024年10月29日読者文芸欄俳句恩田侑布子選入選

履歴書を郵送天の川を踏み

静岡新聞2024年10月29日読者文芸欄川柳尾藤川柳選秀逸

石を投げ前世の俺を押しつぶす

毎日新聞2024年10月27日毎日歌壇水原紫苑選

ハルキストの店主はときどき山羊の目で果汁のように珈琲を言う

毎日新聞2024年10月21日毎日歌壇加藤治郎選

(戦争)が()のなかを出るときにまだ夕焼は目にしみますか

​第1回自由律俳句大賞佳作

夜をきれいに剥がせた声だ

毎日新聞2024年10月14日毎日歌壇加藤治郎選

事件ですか事故ですかそれとも流れ星を追いかけてゆくのですか

令和六年前期掛川城観光俳句・短歌入選

城下なる紫陽花の青映えさせて掛川城は白さにおはす

令和六年前期掛川城観光俳句・短歌入選

青き踏む武者初陣の足どりで

毎日新聞2024年10月7日毎日歌壇水原紫苑選

珈琲のエレメントではコロンビアは風と知るときマコンドは消ゆ

毎日新聞2024年10月7日毎日歌壇加藤治郎選

(戦争)と思っていたら夕闇を浮かぶは脱ぎ捨てられた殻か

週刊金曜日2024年9月27日号金曜俳句174「子規忌」入選

銀輪にはまるボールや獺祭忌

週刊金曜日2024年9月27日号金曜俳句174「稲光」入選

汽水湖のおもてを走る稲光 いなびかり古い印刷所のにおい

静岡新聞2024年9月24日読者文芸欄俳句恩田侑布子選特選一席

君来るなづきへ夏蝶の翅音

産経新聞2024年10月3日産経俳壇宮坂静生選

揺れるまえから揺れている鶏頭花

毎日新聞2024年9月30日毎日歌壇加藤治郎選

通勤快速の緊急停止ボタンを押すたったいま恋が実ったんです

産経新聞2024年9月19日産経歌壇伊藤一彦選

夏枯れの枝を新芽の噴きはじめ商店街の秋が聴こえる

毎日新聞2024年9月2日毎日歌壇伊藤一彦選

こどもらの声から遠い暗がりに原爆と人間展を観る

朝日新聞2024年9月1日朝日歌壇馬場あき子選

 四十度を超える溽暑の地に墜ちた蝙蝠へやる水筒の水

週刊金曜日2024年7月26日号金曜俳句172「稲の花」入選

いねのはな雲のなかより雲生まれ

週刊金曜日2024年7月26日号金曜俳句172「新涼」入選

新涼やまだ湿りたる馬頭琴

NHKラジオ文芸選評【俳句】7月27日「蓮」選者・鴇田智哉

毛穴みな蓮の呼吸へつられけり

毎日新聞2024年7月22日毎日歌壇水原紫苑選

熱帯夜のアートセンター暗がりへあなたはディオゲネスだと告げる

毎日新聞2024年7月22日毎日歌壇加藤治郎選

再配達の再配達の再配達の再配達のキムチ

JP労組新聞2024年7月1日号

老桜と化して部長の昼寝かな

JP労組新聞2024年6月3日号

避けていた人とはなぜかよく会う日

毎日新聞2024年6月3日毎日歌壇水原紫苑選

誰だろう円周率を求めるとからだにいいと気づけた人は

週刊金曜日2024年5月31日号金曜俳句170「夏炉」入選

夏の炉や花嫁の武勇伝など

毎日新聞2024年4月16日毎日歌壇水原紫苑選

夕焼けをいくつも越えたまなざしで西の羊は珈琲を出す 

RinRin第253号(春号2024年4月10日発行)「心の詠み人」水野タケシ選

サブスクにない曲ばかり聴きたがる

みそのの詩歌賞短歌部門候補作

散る風のなかにひとひらのぼりゆく花びらありてそれはわたしだ ( みそのの詩歌賞 )

毎日新聞2024年4月1日毎日歌壇水原紫苑選

夢のなかのわたしはわたしのままなのかはくもくれんのなかの生首( 毎日新聞 )

2024年可睡斎ひなまつり俳句・写真コンテスト優秀賞

背を向けたとたんに雛の笑い声

第6回浜松「私の詩」コンクール一般の部静岡県詩人会長賞

令和五年後期掛川城観光俳句・短歌入選

つわものの石垣撫でる秋思の手

毎日新聞2024年3月4日毎日歌壇加藤治郎選

<audio src="裏声でうたう新古今.wav" autoplay>夕焼だけじゃ声にならない</audio>( 毎日新聞 )

毎日新聞2024年2月19日毎日俳壇小川軽舟選

さざんかや潮騒遠き精神科 

毎日新聞2024年2月5日毎日歌壇水原紫苑選

北を向く信号はみなひび割れて町を逃げ出す気は起こらない

毎日新聞2024年1月22日毎日俳壇西村和子選

散るように風に流され冬の蝶

文芸磐田第四十九号詩部門第一位

お絵かき教室 ( 磐田市 )

毎日新聞2023年12月12日毎日歌壇水原紫苑選

日本海の色を見たくて西田幾多郎記念哲学館をおとなう

第31回可児市文芸祭現代詩部門市長賞

入院生活  ( 可児市 )

毎日新聞2023年11月27日毎日歌壇水原紫苑選

夜ということばを死語にするように銀杏黄葉は音立てて散る

毎日新聞2023年11月20日毎日歌壇伊藤一彦選

絶対に自分は間違えていると信じる人の言葉は強い ( 毎日新聞 )

いしかわ百万石文化祭2023短歌大会一般の部三井修選者賞・鈴木英子選入選

この星に水があるのは悲しみをうすめ流してわかちあうため

第四十一回子規顕彰全国短歌大会秋葉四郎選入選・中川佐和子選入選

AIが私らしいと言う服をそのまま着れば私らしくて

毎日新聞2023年11月14日毎日歌壇水原紫苑選

河はみな海へ注ぐと思う日の注いだあとの河はわたしだ ( 毎日新聞 )

第44回全日本短歌大会秀作賞

星の名を教えてくれた祖母は逝き知らない星を祖母の名で呼ぶ

第三十四回伊藤園お~いお茶新俳句大賞佳作特別賞

脳の恋する部位はもうすみれ草( 伊藤園 )

第9回詩歌トライアスロン鼎立部門受賞連載

第1回俳句連作「 シガーソケット 」 第2回自由詩「 忘れられた怪獣 」 第3回短歌連作「 前頭葉の色づくころ 」 第4回俳句連作「 スポークンワード 」 第5回自由詩「 眠りの南で 」 第6回短歌連作「 郵便的な、あまりに郵便的な 」 第7回俳句連作「 グロブスター 」 第8回自由詩「 西遠叙景 」 第9回短歌連作「 しっぽり太ゴシックな午後 」 第10回俳句連作「 ゴムボック 」 第11回自由詩「 化石律 」 第12回短歌「 木星紀年法 」

第37回全国短歌フォーラムin塩尻入選

外来の外と来とはヒトのせい空港跡のながみひなげし( 短歌フォーラムin塩尻 )

毎日新聞2023年9月25日毎日歌壇加藤治郎選

アンケート□男□女にレを打てず紙はずらされ□犬にレと打つ

第二十五回春日万葉の森歌垣大会人麿賞

百年を寝てきた顔で潮風の図書館で読む今朝の新聞

毎日新聞2023年9月4日毎日歌壇水原紫苑選

日本語の黒にあたる語百以上あると闇より来た君は言う

毎日新聞2023年7月17日毎日歌壇伊藤一彦選

平社員であり続けるのはむつかしいちょっと気をぬきゃでこぼこ社員 

毎日新聞2023年7月3日毎日歌壇水原紫苑選

シオランと志ん朝を読む潮と汐ことばは衣をまとった魚( 毎日新聞 )

毎日新聞2023年7月3日毎日歌壇伊藤一彦選

非正規と正規おなじにするために不利な方へと合わせる弊社

第六十六回短歌研究新人賞最終選考通過作

銀色のギターケースをかつぐひと樹のたましいは月面にある 風呂という海をあごまでもちあげる『夜間飛行』の栞は髪だ てのひらのくぼむかたちは三日月が地のすれすれにあった名残りだ なんとなくえがおの人を避けているえがおはひとを責めたてる顔 ひとりでは広すぎるから夏空のここより先は君の言語野 スープから熱の引くのを待っている湖を立つ鳥を思って にぎったら洗ってすぐの手であった清潔だけど体温じゃない 昼寝したつもりになっていたけれど海は少しも動いていない 音もなく日付は変わる牛乳は飲めない白い液体となる だんだんと風の長さがわからなくなりお別れのことばを言った

毎日新聞2023年6月19日毎日歌壇伊藤一彦選

なんのためか知らずに入るレントゲン部屋の機械はかすかな翅音

毎日新聞2023年6月19日毎日歌壇水原紫苑選

ヒトののち花や星々うまれたと神話は語るパンは黴びゆく

毎日新聞2023年6月19日毎日歌壇米川千嘉子選

渡せずに積み重なった君宛ての手紙の重さとして私だ

毎日新聞2023年6月13日毎日歌壇加藤治郎選

みんな地雷原をぬけた気でいる郵便局の自爆営業

毎日新聞2023年6月5日毎日歌壇加藤治郎選

戦争を愉しむ貌のないこども樹皮へつながるイヤホンは抜く( 毎日新聞 )

第9回詩歌トライアスロン三詩型鼎立部門受賞作 短歌「誤配」他

短歌連作「 誤配 」( 詩客 ) 【抜粋】 泳ぎたい鳥と飛びたい魚いて誰かと話したいヒトがいる

毎日新聞2023年5月22日毎日歌壇水原紫苑選

食道に蝶のつかえている気分あす君は誰かの妻となる

毎日新聞2023年5月16日毎日歌壇加藤治郎選

※この歌はAIによる創作が含まれており審議中です( 毎日新聞 )

毎日新聞2023年5月16日毎日歌壇水原紫苑選

配達の順路は海へ交わって速達へ貼る魚の切手

毎日新聞2023年5月8日毎日歌壇水原紫苑選

人類はうち勝てますか沖へゆく漁り火のなか異星人の火 

毎日新聞2023年5月8日毎日歌壇米川千嘉子選

好きな人に十二年いた恋人は嘘だと知った夕の花冷え

毎日新聞2023年4月24日毎日歌壇伊藤一彦選

あたらしいノートブックを買うように余白の広い詩集をひらく( 毎日新聞 )

毎日新聞2023年4月24日毎日歌壇加藤治郎選

一生を棒に振るとか知らんがな一生分の素振りだ今は

毎日新聞2023年4月18日毎日歌壇加藤治郎選

歯車はかみあわなくて郵便がおおきな池のまんなかに浮く( 毎日新聞 )

毎日新聞2023年4月18日毎日歌壇米川千嘉子選

好きという言葉を君に伝えたら好きの気持ちが減るかも 桜

毎日新聞2023年3月27日毎日歌壇水原紫苑選

宛先のひとつは春の月となり夜の峠へ郵便夫ゆく( 毎日新聞 )

毎日新聞2023年3月27日毎日歌壇加藤治郎選

ちはやぶる神曲を聴きぼくらこのワンルームから恋人となる

浜松市民文芸第68集短歌の部市民文芸賞(清水正人選)

人生へ読点を打つ血と肉となった書籍を紐で縛って 売るための本をバイクにくくりつけ秋風よりも秋風となる 売りがたさもろとも本の値段とす古本市は秋晴のなか 午後四時に魔法は解けて古書売りは足の疲れた父親となる ( 静岡新聞 )

毎日新聞2023年3月14日毎日歌壇伊藤一彦選

冷蔵庫のどこかに賞味期限切れソイミート冷ゆグラムシを読む 

第31回岐阜県文芸祭一般短歌部門入選

聴衆は月と真冬の烏のみ夜汽車の音のあわいを歌う

毎日新聞2023年2月27日毎日歌壇加藤治郎選

人体はレゴのブロックめいている接骨院も整骨院も

第五回笹井宏之賞最終選考候補作「太陽、三割引き」

中古車を解体したらエンジンに金魚が眠る 目はないけれど 廃炉から鴉が白くなるまでの虹のこととか影のこととか デモ隊の君のあとから君が来る太陽だって少しは動く 雲ひとつ動かないとか告げられて喪服の人がみんな見上げる 駅員は夜からぼくをひっぺがし赤い光をまとえと言った 親指は切りはなしてもすぐ戻る父だった人の好きな手品 あばら骨を動かし指で肺を押す こどものときの空気がぬける 海底に母がいるなら三色の蛍光ペンを波間に置こう 耳のさきすこし尖ってきたような最近石の声が多くて 音だけじゃ撃たれたものは分からない太陽はもうコンビニにある

第二十四回万葉の里短歌募集「あなたを想う恋のうた」優秀賞

ひまわりの影が大きくなってゆくもう一度だけ嘘を信じる ( 越前市 )

毎日新聞2023年2月20日毎日歌壇加藤治郎選

豚肉を紙に包んで買うときの高層ビルは夕焼の色

ふじのくに芸術祭2022(第62回静岡県芸術祭)文学部門文芸コンクール・短歌・産経新聞社賞

遠花火 夏まつりの案内が来て児とゆけばただ赤茶けた更地があった 「きこえた」と児の指す塀へそら色のラムネの瓶の破片が刺さる 咳ばかりしている町の暗がりに祭名残りの提灯は赤 マスクせず浴衣の群れとすれちがう夕焼けの色恐ろしいとき 砂浜に児と腰かけて聴いている遠い花火の燃えつきる音

第23回若山牧水青春短歌大賞佳作入選

どのように泳げばいいか分からない君のやわらかさを知ってから ( 延岡市 )

RinRin第249号(立春号2023年2月1日発行)「心の詠み人」梅内美華子選

綿詰めにされた故人のかたわらにまだ風を待つ白いオカリナ

毎日新聞2023年1月16日毎日歌壇米川千嘉子選

職場とは離れた道ですれちがう聴いたことない君の声聴く

第12回青の國若山牧水短歌大会題詠「声」佳作

声はもう忘れた祖父の遺言はカラマーゾフの兄弟を読め

第30回可児市文芸祭短歌部門優秀賞

遠巻きに見ている人の手拍子をたよりに弦を弾く年の瀬

毎日新聞2022年11月28日毎日歌壇米川千嘉子選

 「帆」の字を名にもつ人を好きになりその人とゆく離島を思う 

朝日新聞2022年11月27日朝日歌壇永田和宏選

あの音はもう鳴ることはないのだな通夜会場の白いオカリナ

第34回葉桜短歌賞佳作

三日月は音なく沈む祖母の死をひとつき経って知ったコロナ禍

毎日新聞2022年10月10日毎日歌壇伊藤一彦選

太陽のひかりにさらす履歴書の熱さそのまま封じて送る

第77回尼崎市文芸祭短歌部門入選

ゆびさきの声だけがまだあたたかいただ空っぽの座る犬小屋

伎倍の茶屋短歌大会(伎倍の茶屋三周年記念)浜北区長賞

甘酒を児と飲むきっと万葉の人の食事もこんな温度だ

毎日新聞2022年8月15日毎日歌壇伊藤一彦選

赤道の南から来た店員が「超おいしい」とおにぎりを言う

第六十五回短歌研究新人賞最終選考通過作

店頭の除菌スプレー中身ではなく習慣へ両手をさらす 液晶へ夕焼け映し夕焼の画像を祖母と思って握る アイドルの生写真買う写真より生という語を愛したゆえに バス来るを疑いだした三人のバス待ち人は波を待ちだす プレゼント包装として葉を添える干からびていてかさかさ鳴る葉 薬局で買うパン・お菓子・ジュースならからだが軽くなっていくかも 電話機の中身をぶちまけたような夜を走ろう声のはてまで 一斤の高級だった食パンの奥深くより獣の臭い 見たときは午後二時だった時計いまごまかすように五分進んだ さざんかの散るたび海は広がって静かな夜の裾を湿らす

第百四十六回明治記念綜合短歌大会佳作

春風を歩めば思ふ祖母の手のやはらかきことを話したことを

第三回「文芸思潮」短歌賞優秀賞

手のひらを逃れこぼるる風花のやがては風となり果つるかも