文芸かけがわ第19号短歌五首選

骨ばった指は光へふれたのだ彫刻刀は風をふちどる

木版へ谷が刻まれ山ができ一羽の鷹が渡っていった

日と人はかつてことばを交わしたか十二の赤の色見本帳

千年を生きた獣の艶をしてばれんは和紙を傷め泣かせる

雪嶺の十二の刷りを重ねれば遠く聴こえる狼の声

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